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言語聴覚士について

言語聴覚士とは、ことばや聞こえなど、コミュニケーションに障害のある方、また、摂食・嚥下障害といい、食べたり飲んだりすることに障害のある方の相談、評価、訓練、指導などを行う専門家です。
1998年に「言語聴覚士法」が施行され、国家資格となりました。
国家資格としての歴史は比較的新しく、資格化以前は「言語療法士」、「言語治療士」等の呼称が用いられていました。
英語表記である Speach-Language-Hearing Terapist を略して、【ST】とも呼ばれています。

コミュニケーションの障害は、その原因や症状が様々で、年齢も幼児から高齢者までみられます。
主な障害を下記にお示しします。

★対象となる障害
運動障害性構音障害 脳卒中・頭部外傷・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症など神経や筋に生じるさまざまな病気によって話すことに必要な機能に障害を受けることがあります。
構音障害と名前が付けられていますが、発音ばかりではなく、呼吸や発声・共鳴・話すリズムなどに障害があり聞き手に解かりにくい発音となっている場合もあります。
具体的には、声が小さい・ガラガラ声やカスレ声・鼻声、ロレツの回らない発音などの症状が混在します。
疾患によっては、話す言葉ばかりでなく知能障害の他、失語症や食べること、飲み込むことの障害を合併することがありますが、構音障害のみであれば、聴いて理解する力に問題がないので、 五十音表を指差す、筆談をすることで十分にコミュニケーションを取ることが出来ます。
言語聴覚士は発話能力の機能回復を図り、意思の疎通を改善するように指導します。
機能性構音障害 耳の聞こえに問題がなく、言葉を発するために必要な器官(唇や舌など)に異常がないにも関わらず発音がおかしい場合をいいます。
未だ原因の特定や解明はされていないのが現状ですが、以下のことが考えられます。
① 発音に必要な器官(唇や舌など)の運動機能の未熟さ
② 誤った音と正しい音を弁別する力の遅れ
③ 言葉のモデルや言葉の習得を支える言葉環境の問題そして、発音の誤り方には次のようなものがあります。
①置換え:『さかな』→【たかな】のように、発音されなければならない音「さ」が「た」と別の音に発音される状態をいいます。
② 省略:『でんわ』→【えんわ】のように発音されるべき子音が省略されている状態をいいます。
③ 歪み:正しい音ではないが似ているような音に聞こえ日本語の音としては表現出来ない状態をいいます。     
言葉の発達には個人差がとても大きいものですが、4~5歳になると日本語にある音のほとんどが言えるようになります。
また、発音の不明瞭さなどでコミュニケーションに困難をきたす事(周りから指摘され心理的ダメージを受ける)もありますので、 この4~5歳が発音訓練の目安とされています。
口唇口蓋裂 胎生期に唇や上顎をつくる部分がくっつかず、裂けた状態で生まれてくる先天的な病気で、日本では500人に1人の割合で生まれるので、高い頻度で発生する病気といえます。
唇だけが裂けている場合を口唇裂・口の中(上顎)だけが裂けている場合を口蓋裂・どちらとも裂けている場合を口唇(顎)口蓋裂といいます。
治療は状態にもよって異なりますが、哺乳の問題・唇や鼻の形態・顎の発育や噛み合わせの問題・発音の問題・中耳炎などの耳の病気・心理的な問題から起こることもあります。
しかし、現在では早期より、一貫した治療システムでチームアプローチが行われ、適切な時期に適切な手術や訓練を行うことが可能となっています
音声障害 風邪を引いて咳がひどく出る、お酒を飲み、ついカラオケで歌いすぎる、スポーツの応援に熱が入って長時間大声でどなるといった後に、声が嗄れた、声が出なくなったという経験はないでしょうか? 通常は風邪が治ったり、安静にしていると声も元通りに回復しますが、直らず長引いたり、悪化したりすることがあります。
その他にも風邪を引いた訳でもないのに声がおかしい、声が出にくいということもあります。
このような、声の障害を引き起こす疾患としてよく知られているものには喉頭炎・喉頭がん・声帯ポリープ・声帯結節などがあります。
疾患によって治療方法は異なりますが、喉頭炎の場合には炎症を抑えるような薬物治療、咽頭がんの場合にはがん治療が最優先されますし、声帯ポリープや声帯結節など誤った声の使い方をしたり、長時間声を酷使するために起こる声の障害に対しては、声の衛生指導を基本に発声法の指導が行われます。
いずれも、音声障害に詳しい耳鼻咽喉科とい言語聴覚士の診断と治療を受けることが必要です。
摂食・嚥下障害 食べる、咀嚼する、飲み込むなど全てを含めた広い概念です。
脳卒中やパーキンソン病、膠原病、腫瘍などのさまざま病気の他、老化や薬によっても起こることが分かっています。 この障害では  
1)誤燕や窒息・低栄養・水分摂取困難などによる生命の危機
2)食べる楽しみの喪失が大きな問題となります。
特に『むせのない誤嚥』の場合には、一段と危険性が高くなります。
従来は誤嚥によって肺炎を併発した場合には、口から食べることを禁止し、鼻から胃にチューブを入れるということが頻繁に行われていましたが、きちんとした評価・訓練の必要性が呼ばれるようになり、 段階的に食べる訓練を行ったり、代償方法などが開発されています。
具体的には、施設によって異なりますが、リハビリテーション科・神経内科・耳鼻咽喉科・歯科・口腔外科などの医師・歯科医師による診察をもとに、看護師・言語聴覚士・栄養士・理学療法士・作業療法士・歯科衛生士などによる訓練がチームアプローチによって行われます。
言語発達遅滞 何らかの原因により、同年齢の子供に比べて言語発達の状態が標準より遅れている場合をいいます。
こうした言語発達の遅れをきたす要因として、以下のことが考えられます。
① 聴覚障害:言葉の入力である聴覚に障害があると、言葉が歪んで聞こえたり音が小さく聞こえるため言語発達が遅れます。
② 対人関係の問題:代表的なものとして自閉症があります。コミュニケーション能力の発達の遅れに伴って相手の存在や言語刺激の関与が不十分で言語発達が遅れます。
③ 知的発達の問題:知的障害に伴う言語発達の遅れで、言葉の理解や語彙の発達の遅れや、象微機能の発達の遅れから言語発達も遅れます。
④ 言語学習に限定された特異的障害:中枢神経系の機能障害が疑われています。特異的言語発達遅滞や言語性学習障害、小児失語などがあります。
⑤ 発声発語器官の機能障害:脳性麻痺や口蓋裂などのように発声発語器官に麻痺や形態の異常に伴って話し言葉の障害を伴います。
⑥ 不適切な言語環境:虐待や2ヶ国語などの教育環境の問題で言語発達が遅れることもあります。言葉によるコミュニケーションの問題は、脳卒中後の失語症・構音障害、聴覚障害、言葉の発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡ります。
年齢に関しても小児から高齢者まで幅広く現れます。
言語聴覚士は、このような問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練・指導・助言・その他援助を行います。
高次脳機能障害 ―見る・聞く・触る― などの感覚から「知る・わかる・注意する・考える・行う」といった一連の活動を支える脳機能の障害を高次機能障害といいます。
高次機能障害の中には、-記憶・注意・認知など さまざまな種類の障害―が含まれ、社会生活、特に職業生活の上で重大な機能障害となります。
これらの機能が発揮されるためには、高度な神経連絡が必要で、同じ記憶の障害と言っても神経系の損傷のされ方によって障害の性質が異なります。
例えば、過去の出来事のような言葉で表現されるような記憶は不得手でも、コンピューター操作のような手順の記憶は保たれていることがあります。
認知など他の障害でも保たれている機能と障害を受けた機能がいろいろ組み合わさって生じます。残された機能をいかに生かして社会に復帰するかを考え、訓練することが必要です。